ラムネで酸素検知剤を還元させる(zgkzwのわくわくラボ)

きっかけ

お菓子に封入されていた脱酸素剤に「サンソチェッカー」(酸素検知剤)がついていた。密封状態ではピンク色だが、開封すると空気にふれてみるみる青色に変化する。

目の前で色が変わっていくのがおもしろくて、昔からよく眺めていた。これはどういう仕組みなのだろう。

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開封前はピンク色だが、開封後は青色

 

調べたこと

 

特許情報によれば,市販されている酸素検知剤の多くは,酸化型で青色,還元型で無色になるメチレンブルーなどの酸化還元色素および還元剤を主成分として,それらを層状化合物やシリカなどに担持・分散する,水溶液内で紙に含浸する,あるいはインキにして塗布または印刷するなどの手法で作製されている。

紙の中に分散したメチレンブルーの分光学的特性およびその酸素検知剤への応用

 

酸素検知剤はメチレンブルーという物質でできていて、これが酸素と結びつくことで青く変化するようだ。さらに調べると、メチレンブルーの酸化還元反応の実験がヒットした。

 

メチレンブルーの酸化と還元 (*)|化学実験|文系学生実験|教育プロジェクト|慶應義塾大学 自然科学研究教育センター

(文系学生実験というところに親しみがわいた。リンク先のいちばん下に掲載されている「実験テキスト」のPDFをおもに参考にした。)

 

メチレンブルーはグルコースで還元できる。つまり、空気にふれてピンクから青になった酸素検知剤、これを酸素から切り離して、ふたたびピンクに戻すことができるらしい。夢がある。

グルコースの別名はブドウ糖ブドウ糖といえばラムネだ! 森永ラムネの原材料はほぼブドウ糖だ。そしてラムネなら箱買いしたのが手元にたくさんある。やってみよう。

 

仮説

青くなった酸素検知剤をラムネ溶液に浸けたら、ピンクに戻るのではないか。

 

方法

1.脱酸素剤を解剖して、酸素検知剤をとりだす。

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2.森永ラムネ1粒を細かく砕く。

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白い粉

 

3.水10mlと混ぜてラムネ溶液をつくる。

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ジプロックごとお湯に浸して温めながら溶かした

 

4.ふつうの水とラムネ溶液にそれぞれ酸素検知剤を入れ、密封してよく振る。振ると反応が早まるらしい。

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ふつうの水に入れたほうの写真を撮り忘れてしまった。不覚。最初はどちらも同じような青色だった

 

5.3時間待つ。酸素にふれて青くなるときはすぐだが、酸素が抜けてピンクに戻るのには数時間かかるようだ。

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酸素検知剤「エージレスアイ」 | 事業・製品 | 三菱ガス化学株式会社

 

結果 

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左がラムネ溶液、右が水

様子が違う!

 

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酸素検知剤の色だけ見ると、ラムネ溶液のほうが明らかにピンク色に変化している。すごい。仮説のとおり、ラムネに含まれるグルコースでメチレンブルーの還元反応が起きたようにみえる。

 

ただ、ラムネ溶液のほうは液がなんだか青い。単に青インクが溶け出して脱色した結果ピンクになった、とも解釈できる。でも、水には溶けないインクがラムネ溶液には溶ける……ということはないはずだ……。この理由はよくわからない(思いつく方がいたら教えてください)。 

 

まとめ

還元反応に成功したといえるかどうかは微妙だが、酸素検知剤の色に差が生じたことで一応満足のいく結果にはなった。というか、水とラムネ溶液で違う結果になったこと自体が愉快だった。ラムネの量も水の量もいい加減だし、そもそも化学物質や実験器具での実験を自宅で再現できると思わなかった。何事も思いついたらやってみるものだ。